ネット銀行はどんな人におすすめ?メリット・デメリット、おすすめのネット銀行を紹介
マイボイスコムが2020年1月に10代から70代の方を対象に行ったインターネットバンキングの利用に関する調査によると、回答者の約7割が「インターネットバンキングの利用経験がある」と答えています。※
インターネットバンキングは、人件費や店舗の維持費などの固定費が店頭で行われる銀行サービスと比べて軽めで済むため、各種手数料が安く金利が比較的高い傾向があります。
インターネットバンキングを専業とするネット銀行は複数存在し、毎年口座数を増やし続けている人気の銀行もあります。
しかし、都市銀行や地方銀行の銀行口座は持っているもののネット銀行の口座はまだ開けていないという方は多いのではないでしょうか。
今回はこれからネット銀行の口座を開設するという方のために、様々な種類のネット銀行を取り上げます。
Index
1) そもそも、ネット銀行とはどんなもの?普通銀行との違いは?
ネット銀行は店舗を持たず、インターネットバンキングを専業とする銀行です。
多くのネット銀行では通帳が存在しませんが、それ以外は店舗型の銀行と取引メニューは大きく変わりません。預金、振り込み、投資、各種ローンなど、個人の方が使う場合ほとんど不便と感じることはないでしょう。
手数料や金利が店舗型の普通銀行よりも有利というだけでなく、24時間サービスを利用できるという点は忙しい現役世代の方にとっては大きな魅力です。
最近は住宅ローンをネット銀行で借りる方も多く、「夜仕事が終わってから住宅ローンの申し込みができたので会社を休まずに済んだ」という声も聞きます。またコールセンターやチャットサービスが充実しており、不明点は問い合わせにより解決できます。
普通銀行もインターネットを介して取引ができる「インターネットバンキング」の利用を顧客に促しており、銀行のサービスは「店舗型」から「ネット型」に移行しつつあるといえるでしょう。
2)ネット銀行のメリット
普通預金の金利が、通常の銀行と比べて高い
ネット銀行の普通預金の金利は通常の銀行と比べて高い傾向があります。
普通預金で0.1%程度の金利がつく銀行も珍しくありません。
0.1%というと300万円で、年間3,000円(税引前)になります。
投資に回さないような生活資金や緊急時資金を置いておく銀行を選ぶ際、普通預金の金利は重要なポイントになります。
ただし、0.1%の金利を提供する銀行の多くは、一定の条件を設けています。
銀行によって高金利を付与する条件は様々であり、グループの証券会社と連携手続きをとることが条件になっている場合や、給与の振り込み口座として指定することが条件になっている場合などがあります。
ネット銀行に口座を開設した際には、優遇条件をしっかり享受できるようにプログラムの内容を把握することが大切です。
振込手数料が無料・割安になる
振込手数料がかからない、もしくは安いという理由でネット銀行を利用している方は少なくありません。
多くのネット銀行では預金や投資商品の預け入れ残高が多い方や、住宅ローンの利用者に対して振り込み手数料やATM手数料が無料になる優遇サービスを実施しています。
振込手数料やATM利用手数料が優遇される条件は、銀行によって異なります。
例えば住信SBIネット銀行の場合は、「スマート認証NEO」に登録し、月末の総預金残高が300万円以上だと ATMの利用手数料と振込手数料が月7回まで無料になります。
さらに、条件をクリアしステージランクが上がると無料の回数が15回になります。(2021年4月時点)
毎月複数種類の振り込みが必要という方は、こういった優遇サービスを利用することで毎月の振込手数料を抑えることができます。
ネット証券と連動ができる
ネット銀行を利用する際は、同じグループのネット証券と連動するサービスを利用することでスムーズに投資を行うことができます。
例えば、住信SBIネット銀行はSBI証券、楽天銀行は楽天証券、auじぶん銀行はauカブコム証券と 連携するサービスを行っています。
連携サービスを登録しておくと、証券口座で投資するための資金が不足した場合でも振り込みをせず、自動的にネット銀行に預けている資金を使って証券投資をすることができます。
証券と銀行間の資金移動の手数料は無料ですし、通常の銀行の場合は必要になる面倒な資金の移動が不要になるので便利です。
また連携サービスを利用することで普通預金の金利が優遇される銀行もあります。
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24時間、手間なくいつでもどこでも取引できる
ネット銀行の利点は24時間いつでも取引ができるということです。
パソコンがあれば仕事が終わって自宅に帰ってきてからでも取引ができるばかりでなく、仕事場や電車、カフェなどでスマホで手続きを取ることも可能です。
また銀行の店頭での振り込み手続きの場合は、午後に振り込みをすると相手方に着金するのが翌日以降になってしまうことがありますが、ネット銀行の場合は、即時入金に対応している銀行同士であれば24時間いつでも相手方への資金移動が完了できます。
夜に振り込み手続きをしたのに、すぐに相手方に資金が到着し「翌日着金かと思っていたのに案外早かった」と驚かれる方も少なくありません。
最近は即時入金に対応している銀行は増えてきています。振込みの締め切りが迫っているようなときには、24時間対応というのは非常にありがたいサービスです。
3)ネット銀行のデメリット
ID・パスワードの管理が必要
ネット銀行のデメリットの1つは、パスワード管理が面倒だということです。
ネット銀行では不正取引防止のためにパスワードの設定がログイン時用と取引時用など、複数種類必要となる場合があります。
パスワードは生年月日が含まれるような他人が推測しやすいものは登録できないようになっているため、基本的には暗記ができないような複雑なものに設定する必要があります。
そうすると今度はパスワードのメモを保管する場所を考える必要が出てきます。
ネット銀行の使用頻度が低い方は、パスワードのメモが見つからないという事態に陥ることがよくあります。その場合、毎回再設定の手続きを取らなければいけなくなってしまいます。
また、普段持ち歩いている手帳などにネット銀行のパスワードをメモしておくと、万が一落としたときに他人に見られてしまいますので注意が必要です。
セキュリティへのリスク
警察庁の2020年3月5日発表の広報資料(※1)によると、2019年中のインターネットバンキングの不正送金の件数は1,872件、被害額は25億2,100万円に上っています。
ネット銀行で振り込み手続きをする際は、複数回のパスワード入力が必要になります。
マイページへのログインパスワード、取引時のパスワード、取引ごとにメールなどで取得するワンタイムパスワードなどがありますが、これらの情報は、金融機関を装ったフィッシングサイトで取得されてしまうことがあります。
ネット銀行の顧客への連絡は基本的にEメールで行われます。それゆえ、銀行を装った犯罪組織からのメールと見分けがつきにくいという実情があります。
ネット銀行のウェブページにアクセスする際は、メールに添付されたURLのリンクからではなく、自身がブックマークに保存しているURLから直接アクセスするようにするなどのルール作りが必要です。
更にはセキュリティソフトを活用し、怪しいサイトにアクセスしない等しっかりと管理することも必要です。
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引き落とし口座に指定できない場合がある
ネット銀行の口座は、引き落とし口座に指定できない場合があります。
例えば個人事業主の方のケースで、「国民年金保険料の引き落とし口座に自分が持っているネット銀行の口座が指定できなかった」というケースはあるようです。
公共料金、クレジットカード、保険料などの引き落としに関しては、各ネット銀行が 引き落としができる企業やサービスの一覧をウェブサイトなどに掲載しているので、あらかじめ確認をしておきましょう。
もっとも、引き落とし口座を「〇〇銀行のみ」といったように1つの銀行に限定している企業もありますので、引き落とし口座に指定できないケースというのはネット銀行に限った話ではないともいえます。
「ネット銀行の口座からの引き落としはできない場合でも、デビットカードの決済はできた」というケースもありますので、いくつか可能性を検討することも大切です。
4)タイプ別 おすすめネット銀行
ここからは、タイプ別におすすめのネット銀行を紹介します。
これからネット銀行で口座を作る予定の方は、「自分にいちばん合いそうなネット銀行」を見つけてみてください。
ネット銀行 | 特徴 |
---|---|
東京スター銀行 |
|
楽天銀行 |
※2 会員ランクがスーパーVIPステージの場合 |
イオン銀行 |
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SBJ銀行 |
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ソニー銀行 |
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セブン銀行 |
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GMOあおぞらネット銀行 |
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PayPay銀行 |
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auじぶん銀行 |
※2会員ランクが「じぶんプラス5」以上の場合 |
住信SBIネット銀行 |
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金利の高さを重要視する人は、楽天銀行・東京スター銀行・イオン銀行がおすすめ
ネット銀行 | 普通預金金利(変動金利) |
---|---|
東京スター銀行 | 0.001%〜0.10% |
楽天銀行 | 0.02%〜0.10% |
イオン銀行 | 0.001%〜0.10% |
東京スター銀行、楽天銀行、イオン銀行は、条件を満たせば普通預金の金利が0.1%までアップします。
東京スター銀行は「スターワン円普通預金」を給与受取口座に指定することで、取引明細の摘要に「給与振込」の記載があれば翌月の第5営業日から自動的に普通預金金利が100倍(0.001%×100=0.1%)にアップします。
設定当初は明細の記載と金利アップが予定通りできているか確認しましょう。
楽天銀行は通常でも普通預金の金利が0.02%あり、比較的高くなっています。その上、楽天証券との連携サービス であるマネーブリッジに登録すれば、普通預金金利が0.1%に優遇されます。
イオン銀行は、最高ランクのプラチナステージを獲得することで、普通預金金利が0.1%になります。
ランクはスコアを積み上げることでアップします。
イオンカードの利用、WAONのオートチャージ、投資信託の残高や自動積立の口座振替の実績、NISAの口座開設、iDeCoの口座振替、インターネットバンキングの登録、給与の受け取りなど、幅広い手続きにスコアが付きます。ウェブサイトでスコアの積み上げシミュレーションをすることもできます。
なお、普通預金金利や優遇条件は予告なく変更になる場合や、なんらかの理由で適用外になることがありますので、利用の際は銀行のウェブサイトで最新の情報の詳細をチェックしましょう。
他金融機関への「振り込み」が多いという方は、GMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行・楽天銀行・東京スター銀行がおすすめ
ネット銀行 | 他行への振込手数料 |
---|---|
GMOあおぞらネット銀行 | 最大15回/月無料 ※カスタマーステージに応じて無料回数が決まる 以降は1回につき157円 |
住信SBIネット銀行 | 2021年5月まで最大15回/月無料 2021年6月から最大20回/月無料 ※スマプロランクに応じて無料回数が決まる 以降は1回につき157円 |
楽天銀行 | 最大3回/月無料 ※会員ステージに応じて無料回数が決まる 以降は1回につき168~262円 |
東京スター銀行 | 最大3回/月無料 ※インターネットバンキング登録の場合 以降はスターダイレクトの場合330円 |
GMOあおぞらネット銀行は、「4テックま君」という最高のカスタマーステージを加速すると、振り込み手数料が月15回まで無料になります。外貨普通預金残高500万円以上で「4テックま君」のランクを取得することができます。
住信SBIネット銀行は、スマートプログラムでランク4を取得することで、2021年5月までは月15回まで、2021年6月からは月20回まで振込手数料が無料になります。
ランク4を獲得するためには、スマート認証NEOの登録をしていることと、外貨預金と仕組み預金の合計額が500万円以上であることか、または外貨預金と仕組み預金の合計額が300万円以上で住宅ローン月末残高があることが必要です。
もしくは、対象のクレジットカードの申し込みで、残高等で付与された基本ランクをアップさせることもできます。
楽天銀行は、スーパーVIPという最高ステージを獲得すると毎月の振込手数料が3回まで無料になります。
ステージは、毎月25日終了時点の預かり残高、または前月26日〜毎月25日の対象商品やサービスの取引件数で判定され上がっていきます。
東京スター銀行は、東京スターダイレクト(インターネットバンキング)の振り込み手続きで スターワン口座の取引明細書を郵送しない設定にしていると、他行宛の振り込み手数料が月3回まで実質無料になります。手数料は一旦引き落とし後、翌月の定められた日にキャッシュバックするという仕組みになっています。
また、スターワン口座からの自動振込は手数料が無料です。毎月決まった振込がある方は重宝するでしょう。
証券会社との連動で利用したい人は、楽天銀行、住信SBIネット銀行がおすすめ
ネット銀行 | 証券会社との連動特典 |
---|---|
楽天銀行 | 楽天証券との連携「マネーブリッジ」の登録をすると普通預金金利が0.1%と優遇される。楽天スーパーポイントが貯まる。 |
住信SBIネット銀行 | SBI証券と連携する「SBIハイブリッド預金」は、預金残高が証券口座の買付余力に反映され、0.01%の金利になっている。 |
楽天銀行と楽天証券はマネーブリッジという連携登録ができます。マネーブリッジを登録すると楽天銀行の普通預金金利が0.1%に引き上げられます。
そして楽天証券で株式等を購入する際に資金に不足が生じた場合は、自動的に楽天銀行の口座から楽天証券に自動入金が行われるようになります。自動入金 が行われた際には、ハッピープログラムの対象取引としてステージに応じてポイントが付与されます。
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住信SBIネット銀行はSBI証券と連携登録をすることができます。具体的には住信SBIネット銀行内のSBIハイブリット預金に資金を入れておくと、0.01%の金利で預けておくことができる上、SBI証券で株や投資信託等を購入する資金として使うことができます。
株や投資信託を購入しようと考えたときに、毎回銀行から証券会社の口座に振り込み手続きを取るのは面倒な作業です。マネーブリッジとSBIハイブリット預金を利用することでその手間が省けます。
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まとめ)ネット銀行は、自分のライフスタイルに合った銀行選びを!
ここまで見てきた通り同じネット銀行といっても、各銀行によって強みとしているサービスは異なります。
例えば給与受け取りや各種振り込み、証券会社との連携、生活費の管理住宅ローンの返済といったように銀行の利用目的を整理し、使う銀行を絞り込んでいくと選びやすくなります。
カスタマーステージを上げると優遇条件を得られるネット銀行が多いので、自身のライフスタイルに合ったネット銀行を選ぶと良いでしょう。